冬でもノミ・マダニの感染にはご注意

先日、野良猫の避妊手術を行ったのですが、その子には多数のノミが感染していました。
見ているだけで、痒くなりそうでした。

その子は野良猫ですから、特殊なのかもしれません。
もしも、そのような猫のいた場所に、犬を散歩で連れて行ったとしたら・・・
もしも、飼われている猫ちゃんが脱走してしまい、野良猫の行動範囲に行っていたとしたら・・・

野良猫だけではありません。多くの野生動物は、ノミやマダニを寄生させたまま生きているはずです。
野山から離れた市街地でも、タヌキやネズミ、アライグマやヌートリアなんて帰化動物がいても珍しくありません。

昨年のことですが、1月に来院されたわんちゃんに、マダニが寄生していたことがありました。

ノミ・マダニは根絶されないと思います。
なぜなら、ノミもマダニも季節・気温に関係なく、動物の体表で冬を越してしまいます。
動物の体表には、体温も栄養も常にあるからです。

ペットがこれらを予防するには、野良猫や野生動物がいそうな場所や草むらを避ける努力が、何よりも大事です。
ですが、現状でこれよりも確実な対処法は、ノミとマダニの予防薬を定期的に使用することだと思います。

ノミ・マダニだけでなく、おなかの中の虫(寄生虫)も併せて予防できるお薬もございます。
ご相談ください。

※ご注意ください
市販薬にも『スポットオン製剤のノミ・マダニ駆除薬』がありますが、病院で扱っているお薬よりも効果が落ちる場合が多々あるようです。
また、一度これらのお薬を使用してしまうと、効かない場合でも、次に別の駆除薬を使うまで一定の休薬期間を設ける必要がでてしまいます。
それなので、明らかにノミ・マダニがいると思われる、または確実に予防したい場合は、病院でお出しするお薬を一番にご検討ください。

『ノミ取りシャンプー』や『ノミ取り首輪』は、無効ではないと思いますが、効果が不十分な場合があり、使用を推奨しません。また、ノミ取り首輪をつけた動物で、まれに皮膚炎の原因になってしまうこともあるようです。
同様に、他の駆除方法と組み合わせることができないことが、一番のデメリットです。

もしもマダニが寄生しているのを見つけてしまったら、指やピンセットでつまんで取る方法は絶対にやめてください。
つまむことで、マダニの体液を注入してしまいます。イチジク浣腸を押すのと同じ理屈です。
また、マダニを引っ張ったときに、マダニの口の部分が皮膚に食いついたままちぎれて残ってしまい、その場所に炎症を起こします。
今すぐ取りたい気持ちも理解できますが、駆除薬を使用するべきです。